デイサービスに行きたがらない時の接し方と対処法を徹底解説
- 株式会社アゲイン
- 7月25日
- 読了時間: 13分

▶︎1. デイサービスに行きたがらない理由と背景

デイサービスをすすめても「行きたくない」と拒否されること、ありませんか?
これは決して珍しいことではなく、多くの家庭で見られる悩みです。
まずはその背景にある理由をしっかり理解することが、解決への第一歩です。
1.1 慣れない環境への不安
最も多い理由のひとつが、「新しい場所への不安」です。
特に高齢になると、知らない人との関わりや慣れない施設の空気が強いストレスになります。
こんな失敗もよくあります。
① 事前の説明が不十分なまま当日を迎えてしまう
② 本人の同意を得ずに、周囲が勝手に決めてしまう
③ 「楽しいから行こうよ」と気持ちに寄り添わずに押しつける
これでは本人はますます不安になり、「何をされるかわからない」と感じて拒否につながります。
解決策としては、事前に写真やパンフレットを見せたり、施設の様子を本人と一緒に見学するのが効果的です。
たとえば、施設のスタッフと挨拶だけでも済ませておくだけで安心感が大きく変わります。
「ここなら大丈夫そう」と自分で判断できる環境を整えることが大事です。
1.2 持続が負担になる疲れや慣れの問題
「前は行ってたけど、最近は行きたがらない」
そんなケースでは、「体力的な負担や疲労感」が理由になっていることがあります。
よくある状況としては、
長時間の滞在に疲れてしまった
活動量が多く、帰宅後にぐったりしてしまう
朝の準備が大変で、通うのが面倒になる
こういった体調面の変化や、日々の小さなストレスが積み重なることで、気持ちが離れていってしまうんです。
本人のコンディションに合わせて「午後だけの短時間利用」などに切り替えると、ぐっと通いやすくなります。
また、季節の変わり目や天候の悪い日など、一時的にお休みする調整も大切です。
1.3 自尊心・プライドや人間関係の葛藤
意外と見落とされがちなのが、「自尊心の問題」です。
特に、かつてバリバリ働いていた人ほど、「人に世話をされる場所」だと感じてしまい、抵抗感を持つことがあります。
こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「まだそんなところに行く歳じゃない」
「年寄りばかりの集まりは嫌だ」
「あんな場所、性に合わない」
これらはプライドが傷つくのを避けるための自己防衛でもあります。
さらに、
施設での人間関係が合わなかった
特定の利用者とのトラブル
グループ活動が苦手だった
といった理由で一度嫌になると、次に通う気持ちが大きく下がってしまいます。
このようなときは「誰かの役に立つ場」「自分が主体的に動ける場所」と伝えることが効果的です。
たとえば、「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだって」など、自尊心を保てるような誘い方がポイントです。
▶︎2. デイサービスに行きたがらない場合の接し方と対処法・声かけのコツ

「デイサービス、今日は行かなくていいよね?」 そんなふうに言われて戸惑った経験はありませんか?
無理に行かせようとすると逆効果になりやすく、逆に関係が悪化してしまうこともあります。
ここでは、デイサービスに行きたがらないときの接し方や声かけの工夫についてご紹介します。
2.1 否定せず共感的に話を聞く
「そんなこと言わずに行こうよ!」とつい言いたくなりますよね。
でも、本人の気持ちを否定せずに受け止めることが大事です。
よくある失敗はこんなパターンです。
①「またワガママ言って」と言ってしまう
②「行かないと困る」と責めてしまう
③「いい加減にして」と感情的になる
これでは本人はますます心を閉ざしてしまいます。
「行きたくない気持ちがあるんだね」「何か気になることがあるのかな?」
と優しく声をかけることで、気持ちを吐き出せるようになります。
人は自分の気持ちを理解してもらえたと感じると、心が落ち着くものです。
言葉を選ぶだけで空気がやわらかくなり、少しずつ気持ちが変わっていくこともあります。
2.2 一息置いて再度声をかける工夫
拒否されたときに、すぐに説得しようとすると逆効果です。
いったん距離を置き、タイミングを見て声をかけ直すことがポイントです。
たとえば朝の時間に一度断られたら、慌てて引っ張らずに、
「無理しなくて大丈夫。ちょっとお茶でも飲もうか」
「気が向いたら話してね」 など、プレッシャーを与えない言葉でいったんクールダウンするのが効果的です。
失敗しがちな対応としては、
「何時までに出ないと!」と急がせる
「もう準備したでしょ」と強制的に外出させようとする
複数人で囲んで説得する
こういった対応は、本人にとって「逃げ場がない」ように感じられ、余計に拒否感を強めます。
大切なのは“その日すぐに解決しなくてもいい”という心構え。焦らず、何度かチャンスをつくることで気持ちが変わることもあります。
2.3 家族が同行して安心感をつくる
はじめての場所や人との接触が不安な場合、家族が一緒に行動することがとても効果的です。
特に初回利用や久しぶりの通所のときは、こんな工夫が役立ちます。
一緒に施設の前までついていく
帰りの迎えを約束する
施設内に少しだけ同行して安心させる
こういった対応によって、本人の中にある「知らない場所への不安」がぐっと和らぎます。
「何かあっても家族がそばにいる」と思えるだけで、安心感が生まれ、前向きな気持ちになりやすくなります。
逆に、「一人で行ってね」「何度も説明したでしょ」などと突き放すと、本人はますます不安を感じ、気持ちが固まってしまうリスクがあります。
また、通所後には「どうだった?」「がんばったね」と声をかけて、本人の気持ちを認めてあげることも忘れずに。
小さな成功体験を積み重ねていくことで、「次も行ってみようかな」という気持ちに少しずつ変わっていきます。
▶︎3. デイサービスへの誘い方ときっかけづくり

拒否の気持ちが強いとき、無理にすすめると逆効果になることもあります。
そこで大切なのが、本人の興味や自尊心に寄り添った「きっかけづくり」です。
ここでは、前向きに誘うための工夫を3つご紹介します。
3.1 ポジティブな目的を提示して興味を引く
「リハビリに行こう」ではなく、「みんなと体操してスッキリしよう」など、ポジティブな目的に言い換えることで、印象が大きく変わります。
よくある失敗は以下のような誘い方です。
①「デイサービスに行かないと体が弱るよ」
②「ケアマネさんに言われたから」
③「私が困るから行ってほしい」
これでは本人は「仕方なく行く」状態になり、気持ちがついてきません。
たとえば、「昼ご飯、おいしいって聞いたよ」や「カラオケがあるらしいよ」など、本人の好きなことに触れると効果的です。
日常の延長にあるような軽い言葉がけのほうが、気持ちのハードルはぐっと下がります。
特に趣味や得意なことがある場合は、それに関連する内容をきっかけにすると前向きな気持ちにつながりやすいです。
3.2 「役割を持ってほしい」と伝える提案
人は誰かの役に立つことで、自分の存在価値を実感できます。
「あなたにしかできないことがある」と伝えることが、大きなきっかけになることも。
たとえばこんな言葉が効果的です。
「歌が上手だから、みんなに聞かせてあげてほしい」
「同じ曜日の方が、あなたに会えるのを楽しみにしてるみたい」
「先生みたいに体操を教えてあげてほしいって言ってたよ」
よくあるNG例は、
「暇なんだから行ってきてよ」
「年寄りの集まりなんだから、あなたも行きなさい」
「とにかく行けばわかるから」
こうした表現では、自分の役割や居場所を感じられず、逆に拒否感が強まります。
「自分が必要とされている」と思えるだけで、デイサービスに通う目的がはっきりします。 プライドや尊厳を尊重する言葉がけが、気持ちを後押しする力になります。
3.3 他人(専門職・訪問スタッフなど)からの声がけ
家族からの誘いだと、つい反発したくなるのが人の心理です。
そんなときは、第三者の力を借りるのも有効です。
たとえば、
担当のケアマネジャーから「〇〇さんの話を聞いたよ」と言ってもらう
看護師やリハビリスタッフから「来てみませんか?」と提案してもらう
以前通っていた利用者が「楽しかったよ」と話す機会を作る
こうした“他人の言葉”のほうが素直に受け入れられやすい傾向があります。
特に医療職や公的な立場のある人からの声かけは、信頼感があるため説得力が高まります。
家族だけで抱え込まず、周囲の人の力を借りることも大切な対処法の一つです。
実際、ケアチーム全体で関わったことで本人が安心し、スムーズに利用が再開できた例も少なくありません。
▶︎4. デイサービスを嫌がる場合の柔軟な利用調整と対処法
「行きたくない」という気持ちが続くと、家族もついあきらめそうになりますよね。
でも、少し視点を変えて利用方法を柔軟に調整するだけで、通いやすさが格段にアップすることがあります。
ここでは、そんな調整のポイントを3つに分けてご紹介します。
4.1 利用時間や曜日を調整する
毎回決まったスケジュールに縛られると、本人の体調や気分によって負担になることもあります。
そこで効果的なのが、利用時間や曜日の見直しです。
こんな例がよく見られます。
朝が苦手な方が午前中から通う設定になっていた
活動の多い曜日に集中して参加していた
利用時間が長く、帰宅後にぐったりしていた
こうした負担が積み重なると、「行きたくない」に直結してしまいます。
対処法としては、「午後からの利用」「隔週の利用」など、柔軟な調整を施設と相談することがポイントです。
また、本人が疲れやすい日はお休みできるよう、予備日を設けるのも良い方法です。
「毎週〇曜日」ではなく、「行けるときに行こう」という気持ちでいると、お互いにストレスが減ります。
4.2 滞在時間を短くした「お試し利用」
いきなりフルで通うのは、誰でもハードルが高いものです。
そこでおすすめなのが、短時間での「お試し利用」です。
たとえば、
最初は2時間だけ参加する
昼食のあとにすぐ帰るプランにする
家族が送迎することで安心感を持たせる
このように段階を踏んで慣れていけば、本人も「これなら大丈夫かも」と感じやすくなります。
失敗例として多いのは、
初回から丸1日のスケジュールを組む
帰宅時間を本人に伝えず不安にさせる
無理に1回の利用ですべてを判断しようとする
こうなると、本人の中で「つらかった」「疲れた」という印象だけが残り、次に進みにくくなります。
最初の印象はとても大事です。無理なく始められることで、前向きな気持ちが育っていきます。
4.3 活動内容や相性の合う施設を探す
「なんとなく合わない」「楽しくない」――そんな漠然とした違和感も、行きたがらない理由の一つです。
特にグループ活動が多い施設だと、人付き合いが苦手な方には苦痛になることもあります。
この場合は、施設の方針や雰囲気、活動内容を見直してみることが大切です。
よくある見直しポイントとしては:
1人で静かに過ごせるスペースがあるか
趣味に合ったプログラムがあるか
利用者の年代や雰囲気が近いか
相性のいい施設と出会えるだけで、「通うのが楽しみ」になるケースも少なくありません。
実際に、見学や体験利用ができる施設も多いため、気軽に複数を比較してみるのがおすすめです。
一度の選択にこだわらず、「合わなければ見直せる」と思っておくと、家族にとっても心に余裕ができます。
▶︎5. デイサービスを嫌がるときの専門職との連携と相談方法
「いろいろ試してもやっぱり行きたがらない…」
そんなときこそ、家族だけで抱え込まず、専門職の力を借りることがとても大切です。
周囲と上手に連携することで、新たな視点が見えてきたり、気持ちの変化を引き出すきっかけが生まれることもあります。
5.1 ケアマネジャー・施設スタッフと情報共有
まずは、担当のケアマネジャーや施設スタッフに現状を正直に伝えることが第一歩です。
「嫌がっていて困っている」と話すだけでなく、次のような具体的な情報も共有しましょう。
拒否のきっかけになった出来事(例:体調不良、他利用者との関係など)
行きたくないと感じている理由(例:疲れる、居心地が悪い、活動が合わない)
家族として困っていることや希望
これらを共有することで、ケアマネ側も対応策を考えやすくなり、施設側との調整もスムーズになります。
「利用回数を減らす」「活動内容を変更する」などの提案が出ることもあるため、定期的な情報共有がとても重要です。
また、家族の意見だけでなく、本人の声も聞き取りながら計画を見直す姿勢が求められます。
5.2 拒否が続く場合の施設変更も視野に
どれだけ工夫しても「合わない」と感じる施設もあるのが現実です。
本人が心地よく過ごせる環境でなければ、拒否は長期化してしまうこともあります。
そんなときは、
他のデイサービスの見学をしてみる
特化型(リハビリ型、趣味重視型など)の施設を検討する
担当ケアマネに、施設の選び直しを相談する
など、施設変更を前向きに検討することも一つの対処法です。
「せっかく慣れたから」「手続きが面倒だから」と我慢を続けるよりも、本人が「ここなら行けそう」と思える場所を見つけることが大切です。
変化を恐れずに柔軟に見直すことが、再び通所に前向きになる第一歩につながります。
5.3 家族の負担軽減と息抜きの視点
本人が嫌がるたびに対応し続ける家族のストレスも、見過ごせません。
介護する側の気持ちや体力も守ることが、長く続けるためには必要不可欠です。
よくある家族の悩みとして、
毎回のやりとりに精神的に疲れてしまう
自分の予定が立てられず、イライラしてしまう
周囲に相談できず、孤立感を感じている
こういった気持ちをため込まず、専門職に「家族として困っていること」も含めて伝えるようにしましょう。
また、次のような対策も有効です。
一時的なショートステイの活用
家族自身のリフレッシュの時間をつくる
家族会やサポートグループへの参加
家族も息抜きが必要です。無理をしすぎず、必要な支援を求めることが、結果的に本人にとっても良い方向につながります。
▶︎6. まとめ:デイサービスを無理なく利用するための考え方と相談先
ここまで、デイサービスに行きたがらないときの原因と対処法について詳しく見てきました。
最後に改めて、大切な考え方と行動のポイントを振り返りましょう。
6.1 大事なのは「本人が安心して通えること」
家族としては「通ってほしい」という気持ちが強くなりますが、最も大事なのは、本人が安心できるかどうかです。
不安な気持ちを無理に押さえつけたり、無理強いをしても、長続きしません。
大切なのは、
気持ちを否定せずに受け止めること
自分のペースで慣れていけるようにすること
小さな成功体験を重ねること
「なんとなく行ってもいいかな」と本人が思えるタイミングを待つ姿勢が、もっとも効果的です。
無理なく通えるようになるには時間がかかることもありますが、それは決して「失敗」ではありません。
その過程にこそ、安心感や信頼関係を築くヒントがあります。
6.2 一つずつ寄り添って進める工夫
「何度も断られて疲れてしまった」 「どう声をかけたらいいのかわからない」
そんな悩みを抱える家族の気持ちも、決して軽く見てはいけません。
だからこそ、
話の聞き方を変える
利用時間を見直す
他人の力を借りる
など、少しずつ、ひとつずつの工夫を重ねていくことが大切です。
また、本人だけでなく家族自身が孤立しないよう、ケアマネジャーや施設スタッフ、地域の支援機関など「相談できる先」を持っておくことも大事なポイントです。
介護は一人で頑張るものではありません。
たとえ今は行きたがらなくても、関わり方を変えたり、環境を整えたりすることで、少しずつ状況は動き出します。
焦らず、でもあきらめずに、寄り添いながら進んでいきましょう。
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