家族で支える介護｜ストレスを溜めないための分担・手続き・費用対策
- 株式会社アゲイン
- 3月25日
- 読了時間: 13分
更新日：4月10日
▶︎1. 家族に介護が必要になったときに知っておきたいこと
親や身近な家族が介護を必要とするようになると、何から始めたらいいのか分からないと戸惑う方が多いです。突然の変化にどう対応すればいいのか、事前に知っておくと安心です。
ここでは、介護が必要になるきっかけや、最初にやるべきこと、家族が抱えがちな悩みと解決策について解説します。
1.1 介護が必要になる主なきっかけとは？
家族が介護を必要とする主なきっかけには、病気や加齢による身体機能の低下があります。特に以下のようなケースで介護が必要になることが多いです。
認知症の発症：物忘れが増え、日常生活に支障が出る。徘徊や判断力の低下がみられる。
脳卒中（脳梗塞・脳出血など）：半身麻痺や言語障害が残り、介助が必要になる。
骨折や転倒による入院：高齢者は骨折をきっかけに歩行が困難になり、そのまま介護が必要になることがある。
心臓病や呼吸器疾患：体力が低下し、日常生活の動作が難しくなる。
加齢による体力の衰え：移動や食事が困難になり、手助けが必要になる。
このような状態が見られたら、早めに医療機関や介護サービスに相談することが大切です。
1.2 介護を始めるとき最初にやるべきこと
介護が必要になったとき、まず何をすればいいのか分からず不安になる方も多いです。
最初にやるべきことを整理しておくと、スムーズに対応できます。
1. 介護の状態を把握する
どの程度の介護が必要か、食事・移動・排泄の状況をチェックする。
医療機関を受診し、診断を受ける。
2. 介護保険の申請をする
住んでいる自治体の窓口で「要介護認定」の申請をする。
認定結果によって、利用できる介護サービスが決まる。
3. 介護サービスを調べる
在宅介護と施設介護のどちらが適しているかを検討する。
ケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成してもらう。
4. 家族で役割分担を決める
介護に関わる家族で話し合い、誰がどの役割を担当するか決める。
介護負担が1人に集中しないよう、外部のサポートも活用する。
最初にこれらの対応を行うことで、介護がスムーズにスタートできます。
1.3 家族が抱える介護の悩みとその解決策
介護が始まると、家族はさまざまな悩みを抱えます。特に多いのが、以下の3つの悩みです。
1. 介護の負担が大きい
解決策：介護サービスを活用し、無理なく続けられる環境を整える。ショートステイやデイサービスを利用し、介護者の休息時間を作る。
2. 仕事と介護の両立が難しい
解決策：「介護休業制度」や「時短勤務制度」を活用する。自治体のサポートや訪問介護サービスを活用し、負担を減らす。
3. 介護の先行きが不安
解決策：ケアマネジャーや専門家に相談し、今後の介護計画を立てる。費用や施設の選択肢を事前に把握し、準備を進める。
家族だけで抱え込まず、周囲の支援を上手に活用することが大切です。
▶︎2. 家族で支える介護のポイント
家族で介護をする場合、負担の偏りやストレスが原因でトラブルになることが多いです。特に、介護をする人としない人の間で意見が合わず、悩みを抱えるケースもあります。
ここでは、家族で介護を支える際の分担の決め方、仕事との両立、ストレスの軽減方法について解説します。
2.1 介護の分担を決めるときの考え方
家族全員で話し合い、役割分担を明確にすることが大切です。介護の負担が一部の人に偏ると、精神的にも身体的にも負担が大きくなります。
介護分担の決め方のポイント
できることをリストアップする
食事の準備や掃除、病院の付き添いなど、介護に必要な作業をリスト化する。
家族の状況を考慮する
仕事や家庭の事情を考慮し、負担を分散させる。
話し合いで役割を決める
誰が何を担当するのか、家族でしっかり決める。
定期的に見直す
介護の状況は変化するため、定期的に役割を見直すことが大切。
具体的な分担例
役割 | 担当する人 | 内容 |
日常の介護 | 長男・長女 | 食事・着替え・入浴の手伝い |
病院の付き添い | 次男 | 通院や診察のサポート |
介護費用の管理 | 家族全員 | 収支を把握し、分担して支払う |
手続き関係 | 親族の中で得意な人 | 介護保険や各種申請を行う |
介護を長く続けるためには、1人に負担を集中させず、家族全員で協力することが重要です。
2.2 仕事と介護の両立はどうすればいい？
介護をしながら仕事を続けるのは大変ですが、制度を上手に活用することで両立が可能です。
仕事と介護を両立するためのポイント
職場に相談する
介護休暇や時短勤務の制度を利用できるか確認する。
上司や同僚に事情を伝え、理解を得る。
介護サービスを活用する
訪問介護やデイサービスを利用し、家族の負担を軽減する。
施設のショートステイを活用し、一時的に預ける選択肢も検討する。
スケジュールを管理する
仕事と介護の時間をうまく調整し、無理のないスケジュールを立てる。
家族で交代しながら介護を行い、負担を減らす。
利用できる制度
制度 | 内容 |
介護休業制度 | 最大93日間の休業が可能（分割取得も可） |
介護休暇 | 年5日間（対象者が2人以上なら10日間）の休暇取得が可能 |
時短勤務制度 | 1日の労働時間を短縮できる |
これらの制度を活用することで、無理なく仕事と介護を両立することができます。
2.3 介護のストレスを軽減するコツ
介護は長期間にわたることが多いため、ストレスをためない工夫が必要です。
ストレスを減らすためのポイント
1人で抱え込まない
介護の悩みは、家族や友人、専門家に相談する。
ケアマネジャーや介護相談窓口を活用する。
リフレッシュする時間を作る
趣味の時間を確保する。
デイサービスやショートステイを活用し、介護から離れる時間を作る。
完璧を目指さない
すべてを完璧にやろうとせず、「できる範囲でやる」と考える。
手を抜ける部分は外部サービスを利用する。
プロの力を借りる
訪問介護を利用し、負担を軽減する。
施設入所も選択肢の一つとして考えておく。
介護は1人で頑張りすぎると続かないもの。無理なく続けられるよう、適度に息抜きをしながら進めていくことが大切です。
▶︎3. 介護サービスや施設の選び方
介護が必要になったとき、自宅での介護を続けるべきか、それとも施設を利用すべきかで悩む方が多いです。どちらを選ぶかによって、家族の負担や費用、生活環境が大きく変わります。
また、施設を選ぶ際には、種類やサービス内容、費用の違いをしっかり理解することが重要です。適切な選択をすることで、介護する家族の負担を減らし、本人にとっても安心できる環境を整えられます。
ここでは、在宅介護と施設介護の違いや、施設選びのポイント、介護サービスの活用方法について詳しく解説します。
3.1 在宅介護と施設介護、どっちがいい？
在宅介護と施設介護には、それぞれメリット・デメリットがあります。家族の負担や本人の希望、経済的な面を考慮して選択することが大切です。
在宅介護の特徴
メリット | デメリット |
住み慣れた環境で生活できる | 家族の負担が大きい |
家族と一緒に過ごせる | 24時間の見守りが難しい |
費用を抑えられる場合がある | 住宅のバリアフリー改修が必要になることも |
在宅介護は、本人が慣れ親しんだ環境で生活できる点が大きなメリットです。しかし、介護の負担が家族にかかるため、介護サービスを適切に活用しながら進める必要があります。
施設介護の特徴
メリット | デメリット |
24時間体制で専門スタッフが対応 | 本人が環境の変化に適応できない場合がある |
医療やリハビリが充実している | 費用がかかる |
家族の負担が軽減される | 施設によってサービスに差がある |
施設介護は、専門的なケアを受けられるため、家族の負担が軽減される点が大きなメリットです。ただし、本人が環境に慣れるまで時間がかかったり、費用がかかる点には注意が必要です。
3.2 介護施設を選ぶときのチェックポイント
介護施設を選ぶ際には、「費用」「介護・医療の対応」「生活環境」「スタッフの対応」の4つのポイントをしっかり確認することが大切です。
1. 費用
入居費用や月額料金は予算内か？
追加費用がかかるサービスはあるか？
公的な補助や助成金の利用は可能か？
施設によって費用は大きく異なります。月額費用が安い施設でも、追加料金が多くかかる場合があるため、事前にしっかり確認しましょう。
2. 介護・医療の対応
医療機関との連携はあるか？（持病がある場合は特に重要）
認知症や寝たきりの方の受け入れ体制は整っているか？
夜間や緊急時の対応はどうなっているか？
医療サポートが充実している施設ほど、将来的なリスクにも対応しやすくなります。
3. 生活環境
部屋の広さやプライバシーは確保されているか？
家族の面会がしやすいか？
施設の雰囲気や入居者の様子はどうか？
実際に見学し、施設の雰囲気や入居者の様子を確認することが大切です。職員や入居者がリラックスして過ごしているかどうかも重要なポイントです。
4. スタッフの対応
介護スタッフの人数は十分か？
利用者との関わり方や雰囲気はどうか？
スタッフの離職率が高すぎないか？
介護施設はスタッフの質によってサービスの満足度が大きく変わるため、入居前にしっかりチェックしましょう。
3.3 介護サービスの種類と活用方法
在宅介護を続ける場合でも、介護サービスを上手に活用することで家族の負担を軽減できます。
代表的な介護サービス
サービス | 内容 | 費用の目安（自己負担） |
訪問介護 | ヘルパーが自宅で食事や入浴の介助を行う | 1回300円～（要介護度による） |
デイサービス | 施設でリハビリやレクリエーションを受ける | 1回500円～1,000円 |
ショートステイ | 数日間だけ施設に宿泊し、家族の負担を軽減 | 1泊1,000円～3,000円 |
訪問看護 | 看護師が自宅を訪問し、医療ケアを行う | 1回500円～ |
福祉用具レンタル | 介護ベッドや車いすなどをレンタル | 1カ月500円～5,000円 |
在宅介護の負担を減らすためには、これらのサービスをうまく組み合わせることが大切です。
また、「要介護認定」を受けることで、介護保険を使ってサービスを利用できるため、早めに手続きを進めましょう。
介護サービスや施設を選ぶ際には、「在宅介護」か「施設介護」かを慎重に検討することが大切です。
在宅介護は家族の負担が大きいが、住み慣れた環境で過ごせる
施設介護は専門的なケアを受けられるが、費用がかかる
施設選びは「費用・医療対応・生活環境・スタッフの対応」をチェックする
介護サービスを上手に活用することで、在宅介護の負担を軽減できる
家族でよく話し合い、最適な選択をすることが大切です。
▶︎4. 介護の手続きや費用の準備
介護が必要になったとき、手続きや費用の準備がスムーズに進むかどうかはとても重要です。介護サービスを受けるには、介護保険の申請が必要ですし、費用についても事前に計画を立てておくと安心です。
ここでは、介護保険の申請手順、介護費用の目安と支援制度、家族で進める手続きのポイントを詳しく解説します。
4.1 介護保険の申請手順と流れ
介護サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。申請からサービス開始までの流れを理解しておきましょう。
介護保険申請の流れ
申請を行う（市区町村の窓口へ）
申請者：本人・家族・ケアマネジャー（代行可）
必要書類：申請書、主治医の意見書、保険証
要介護認定の調査を受ける
市区町村の調査員が自宅や病院を訪問し、生活状況や身体の状態を確認
主治医の意見書を提出
診察を受け、認知症の有無や身体機能についての意見をもらう
審査・判定（約30日）
「非該当（自立）」「要支援1・2」「要介護1～5」に分類される
介護サービスの利用開始
ケアマネジャーと相談し、ケアプラン（介護計画）を作成
介護保険サービスを受ける
要介護認定の結果によって、利用できるサービスや補助額が異なります。申請は早めに行いましょう。
4.2 介護費用の目安と支援制度
介護にはどのくらいの費用がかかるのか、気になる方も多いですよね。介護費用は「在宅介護」と「施設介護」で大きく異なります。
介護費用の目安
介護の種類 | 月額費用の目安 |
在宅介護（訪問介護・デイサービスなど） | 1万〜5万円（介護保険適用後） |
介護付き有料老人ホーム | 15万〜30万円 |
特別養護老人ホーム（特養） | 5万〜15万円 |
介護費用を軽減する支援制度
制度 | 内容 |
介護保険 | 介護サービス費用の1割～3割を自己負担（所得に応じて変動） |
高額介護サービス費制度 | 1カ月の自己負担額が上限を超えた場合、払い戻しが受けられる |
介護扶助（生活保護世帯向け） | 生活保護受給者の介護費用を補助 |
支援制度を活用すれば、介護費用の負担を軽減できます。事前にどの制度が使えるか確認しておくと安心です。
4.3 家族で進める介護の手続きと準備
介護の手続きや準備をスムーズに進めるためには、家族で協力しながら進めることが大切です。
介護手続きを進めるポイント
情報収集をする
市区町村の介護窓口やケアマネジャーに相談する
介護施設の見学やサービスの確認を行う
家族で役割分担を決める
誰が申請手続きをするか、誰が費用管理をするかを決める
無理のない範囲で協力し合う
介護費用の計画を立てる
毎月の費用を把握し、家族で分担する方法を考える
必要に応じて公的支援制度を活用する
介護が必要になったときに備えて話し合っておく
いざというときに慌てないよう、親の希望を聞いておく
在宅介護か施設介護か、どのような支援を受けるかを考えておく
事前にしっかり準備しておくことで、家族の負担を減らし、スムーズに介護を進めることができます。
▶︎5. まとめ｜家族で無理なく介護を続けるために
介護は、家族にとって大きな負担となることが多いですが、適切な知識とサポートを活用すれば、無理なく続けることができます。
ここまで、介護が必要になったときの対応、家族での役割分担、介護サービスの選び方、手続きや費用の準備について解説してきました。
改めて、家族で介護を続けるためのポイントを振り返ってみましょう。
介護を無理なく続けるための3つのポイント
1. 家族で協力しながら進める
介護は1人で抱え込まず、家族で役割を分担することが大切。
事前に話し合い、親の希望や介護方針を共有しておくとスムーズ。
2. 介護サービスを積極的に活用する
訪問介護、デイサービス、ショートステイなどを利用し、負担を減らす。
介護施設を検討する場合は、費用やサービス内容をしっかり比較する。
3. 介護の手続きや費用の準備をしておく
介護保険を活用し、公的支援制度を最大限に利用する。
費用負担が大きくなる前に、家族で資金計画を立てておく。
介護は「無理をしないこと」が大切
介護は長期戦になることが多いため、家族全員が無理をしない環境を作ることが大切です。
負担が大きくなりすぎないよう、定期的に見直しを行う
必要なときは、介護専門家やケアマネジャーに相談する
自分の時間も大切にし、ストレスを溜めない
「家族が支える介護」＝「家族全員が無理なく続けられる介護」です。負担を分散しながら、支え合っていきましょう。
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