介護サービスの種類を徹底解説｜違いや選び方がすぐわかる
- 株式会社アゲイン
- 4月25日
- 読了時間: 14分
更新日：4月29日
▶︎1. 介護サービスとは何か？
1.1 介護サービスの基本概念と目的
介護サービスとは、日常生活に支援が必要な高齢者や障がい者が、自立した生活を続けられるようサポートするサービスです。主に、身体的な介助や家事の支援、リハビリ、通院の付き添いなど、生活全般にわたる幅広い内容が含まれています。
利用者が安心して日常を過ごすためには、「どんな支援が必要か」「どのタイミングで利用すべきか」をしっかり把握することが大切です。
たとえば、こんなケースが考えられます。
独り暮らしの親が、食事の準備や掃除を負担に感じている
転倒の不安から外出を控えるようになった
通院や入浴に付き添いが必要になってきた
このような場面で介護サービスを利用することで、ご本人だけでなく家族の負担も大きく軽減されます。
ただし、介護サービスには多くの種類があるため、内容や対象者をしっかり理解しておかないと、次のような失敗を招きがちです。
よくある失敗例と注意点はこちらです。
自費と保険対象の区別がつかず、高額な負担になった
利用できるサービスが近くにないと気づかずに手続きが進まなかった
家族だけで判断し、実際のニーズに合わないサービスを選んでしまった
こうしたミスマッチを防ぐには、ケアマネジャーと相談しながら進めるのが安心です。専門家のアドバイスを受けることで、必要な支援を見落とす心配もありません。
1.2 介護保険制度とその仕組み
介護サービスの多くは、「介護保険制度」を通じて提供されています。この制度は、40歳以上の人が加入する公的保険で、要介護・要支援の認定を受けた方が対象です。
利用までの大まかな流れは以下のとおりです。
市区町村の窓口に申請
認定調査・主治医意見書の提出
「要介護認定」の結果が通知される
ケアマネジャーと一緒にケアプランを作成
サービスの利用開始
原則として1割〜3割の自己負担で利用できるのが大きなメリットです（所得に応じて変動します）。費用面がネックで躊躇していた方にとっても、負担が軽くなるのは嬉しいポイントですよね。
一方で、制度に関してこんな注意点もあります。
認定までに1か月以上かかることもある
要介護度により利用できるサービスや上限額が異なる
サービスの範囲や質は地域によって差がある
たとえば「退院後すぐに介護が必要なのに、認定が間に合わない」といったトラブルも珍しくありません。
そんな時は、一時的に自費サービスを使いながら制度利用を待つという方法もあります。必要に応じて、地域包括支援センターなどにも相談してみてくださいね。
▶︎2. 居宅サービスの種類と特徴
2.1 訪問系サービス（訪問介護、訪問看護など）
訪問系サービスは、利用者の自宅に介護士や看護師が訪問してサポートするサービスです。自宅での生活を希望する方にとって、もっとも身近な支援といえます。
主なサービス内容は以下のとおりです。
訪問介護：食事・入浴・排せつなどの身体介助、掃除・洗濯などの生活援助
訪問看護：バイタルチェック、服薬管理、医師の指示に基づく医療処置
訪問リハビリ：理学療法士や作業療法士による運動訓練
通院が難しい人や、医療的ケアが必要な人にぴったりの支援です。
ただし、こんな失敗もよくあります。
サービス内容を把握せず「何でもやってくれる」と誤解してしまう
希望の曜日・時間にスタッフが確保できない
訪問スタッフとの相性が合わず、ストレスになった
解決策としては、事前にサービス内容をしっかり確認し、初回面談のときに遠慮せず希望を伝えることが大事です。特に人間関係が大きく影響するサービスなので、相性チェックはお忘れなく。
2.2 通所系サービス（デイサービス、デイケアなど）
通所系サービスは、利用者が施設に通い、介護や機能訓練、食事、入浴などの支援を受けるサービスです。日中だけ利用し、夜は自宅に戻るスタイルなので、家族の介護負担もグッと軽くなります。
主な種類と特徴はこちらです。
デイサービス：レクリエーションや食事、入浴、機能訓練など
デイケア：医師の指導のもとで行う専門的なリハビリ中心の通所サービス
家にこもりがちな高齢者が、社会とのつながりを保てるのも大きなメリットです。
たとえば、週2回デイサービスに通うことで、孤独感が減り、生活リズムが整ったという声も多く聞かれます。
よくある注意点としては次のようなものがあります。
送迎の時間が合わず、家族の都合とバッティング
認知症対応が十分でない施設もある
最初は利用者本人が通うのを嫌がることがある
通所系は特に「楽しい」と感じられるかどうかが継続のカギ。見学をして雰囲気を確かめる、体験利用で慣れてもらうなど、慎重に選ぶのがポイントです。
2.3 短期入所系サービス（ショートステイなど）
短期入所系サービスは、一時的に施設に宿泊しながら介護や支援を受けるサービスです。
通称「ショートステイ」とも呼ばれています。
こんなときに便利です。
介護者が旅行や冠婚葬祭で一時的に不在になるとき
本人のリフレッシュや家族の介護疲れの軽減
急な入院で介護体制が整うまでの一時対応
サービス内容は、入浴・食事・リハビリ・レクリエーションなど、施設入所に近い支援が提供されます。
数日から最長30日ほどまで利用できる施設が多く、柔軟に対応してくれます。
ただし、以下のような失敗には注意が必要です。
急な予約は取りづらく、繁忙期はすぐ埋まる
施設の環境が合わず、夜間不安になる方もいる
利用者本人が「捨てられた」と感じるケースもある
これらを防ぐためには、事前に短時間から試してみる、利用理由を本人にきちんと説明するといった配慮が大切です。
2.4 福祉用具貸与・住宅改修
在宅生活を安全・快適にするための支援として、「福祉用具貸与」と「住宅改修」も重要です。
福祉用具貸与で利用できるものの一例は次のとおりです。
車いす、歩行器、電動ベッド
手すり、スロープ、移動用リフト
住宅改修では、以下のような工事が介護保険の対象になります。
トイレの洋式化や手すりの取り付け
段差の解消やスロープの設置
滑り防止の床材変更
介護保険を使えば、20万円までの工事に対して最大18万円まで支給されます（自己負担は原則1割）。
よくある注意点は次のとおりです。
貸与と購入の区別がつかず、無駄な出費が発生した
サイズや仕様が合わず使いにくい福祉用具を選んでしまった
リフォーム工事後に使い勝手が悪く、結局再改修が必要に
解決のためには、専門業者と事前にしっかり打ち合わせをし、ケアマネジャーと連携することが大切です。
▶︎3. 施設サービスの種類と特徴
3.1 介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム）
介護老人福祉施設、通称「特養（とくよう）」は、要介護3以上の高齢者が、長期的に生活するための公的な入所施設です。常に介護が必要で、自宅での生活が難しい方が対象になります。
提供される主なサービスは以下のとおりです。
食事・排せつ・入浴などの日常生活全般の介助
健康管理や機能訓練
季節行事やレクリエーション
費用負担が比較的低く、入居後の生活費も安定しやすいのが魅力です。
しかし、次のような注意点があります。
人気が高く、入居までに数か月〜1年以上かかることもある
医療ケアの体制が弱く、重度の医療依存には対応しきれない場合がある
集団生活に馴染めず、ストレスを感じるケースがある
入居を検討する際は、早めに申し込みをしておくことがとても重要です。また、見学や短期入所（体験）を利用して、本人の反応を確認するのもおすすめです。
3.2 介護老人保健施設（老健）
介護老人保健施設、略して「老健（ろうけん）」は、在宅復帰を目的とした中間的な施設です。病院を退院したあと、すぐに自宅に戻るのが不安な方が、リハビリや日常生活の練習をしながら一時的に入所します。
主な特徴は以下のとおりです。
医師、看護師、リハビリ専門職が常駐
要介護1以上の方が対象（医師の指示が必要）
リハビリを中心に、3〜6か月を目安に利用
医療と介護のバランスが取れていて、在宅復帰支援に特化した施設と言えます。
ただし、こんな失敗が起きやすいです。
長期入所はできず、あくまで「一時的」な施設であることを理解していなかった
リハビリに積極的でないと、思ったほどの改善が得られない
退所後の生活プランが不十分で、再び入院や入所が必要になることも
老健を活用する際は、退所後の生活やサービスをあらかじめ計画しておくことが非常に大切です。ケアマネジャーやソーシャルワーカーと綿密に相談しましょう。
3.3 介護療養型医療施設・介護医療院
この2つの施設は、医療的なケアがより多く必要な高齢者を対象とした長期入所施設です。
かつては「介護療養型医療施設」が主流でしたが、現在は「介護医療院」への移行が進んでおり、両者の違いは次のとおりです。
施設名 | 主な役割 | 対象者の状態 |
介護療養型医療施設 | 医療提供を重視した長期入所施設 | 気管切開・胃ろうなどの重度の医療ニーズ |
介護医療院 | 生活と医療を一体で支援する新しい施設 | 医療＋介護の継続的支援が必要な人 |
どちらも、医療依存度の高い方が安心して生活できる貴重な受け皿となっています。
しかし、注意点も多いです。
費用が高めで、長期間の入所になると負担が大きい
施設によってサービスの内容や質に差がある
病院とは違い、積極的な治療ではなく「ケア中心」である点を誤解しやすい
選ぶ際には、どれだけ医療体制が整っているか、家族が通いやすいか、生活環境が合っているかをよく確認しましょう。
▶︎4. 地域密着型サービスの種類と特徴
4.1 小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、1か所の事業所で「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを柔軟に組み合わせて提供できる在宅介護サービスです。
特徴としては以下の3つがあります。
デイサービスのように「通う」ことができる
必要に応じてスタッフが「訪問」してくれる
急な介護者の不在などには「宿泊」対応も可能
利用者一人ひとりに合わせた柔軟な支援ができるのが魅力で、「今日はデイサービスに行って、明日は家で過ごしたい」といった希望にも応えられます。
ただし、以下のような失敗が起きがちです。
登録制のため、他の介護保険サービスとの併用ができない
施設の規模が小さい分、満員で受け入れてもらえないことがある
「泊まり」は緊急時対応が基本で、常時の宿泊は難しい
小規模ならではの「顔なじみ」の安心感はありますが、定員やサービス内容に制限があることを理解して利用するのがポイントです。
4.2 認知症対応型共同生活介護（グループホーム）
グループホームは、認知症の方が5～9人で共同生活を送りながら介護を受ける少人数制の施設です。家庭的な雰囲気の中で、できることは自分で行いながら、スタッフのサポートを受けて過ごします。
主な特徴はこちらです。
認知症に特化したケアを提供
地域の住民との交流や外出支援もあり
調理や洗濯などの日常生活を共同で行う
集団生活の中で認知症の進行を緩やかにする効果も期待されており、本人の「自分らしさ」を大事にしたケアが魅力です。
ただし、次のような注意点があります。
要支援者や医療依存度が高い方は対象外になることがある
基本的に地域の住民であることが入居条件となる（地域密着型のため）
医療対応は限定的で、病気の悪化時に転居が必要になることもある
選ぶ際には、認知症ケアの実績やスタッフ体制、地域との連携状況なども確認するのがおすすめです。
4.3 看護小規模多機能型居宅介護（複合型サービス）
看護小規模多機能型居宅介護、通称「看多機（かんたき）」は、小規模多機能型居宅介護に看護師による医療ケアを加えたサービスです。2012年にスタートした比較的新しい制度ですが、医療と介護の両方を必要とする人には非常に便利です。
主な特徴は以下のとおりです。
通所・訪問・泊まりに加え、看護師による訪問看護が可能
点滴、吸引、服薬管理など医療的ケアが対応可能
最期まで自宅で過ごしたい人の「看取り支援」にも対応
「医療ケアが必要だけど入所施設には入りたくない」そんな人にぴったりの在宅支援です。
ただし、利用するうえではこんな注意点があります。
提供事業所が少なく、地域によっては利用できない
医療ケアの内容に限りがあり、病院並みの処置は難しい
緊急時の受け入れ体制や夜間対応については施設ごとに違う
利用前には、どこまでの医療対応が可能かを確認し、医師やケアマネジャーとも連携して計画を立てることが大切です。
▶︎5. 介護サービスの選び方と注意点
5.1 自身の状況に合ったサービスの選定方法
介護サービスは種類が多く、それぞれ目的や利用条件が異なります。 そのため、最初にやるべきことは「現在の状態を正確に把握すること」です。
以下のポイントを基準に考えると選びやすくなります。
介護度（要支援か要介護か）
医療的ケアの必要性
家族の支援状況や介護の負担度
住環境（自宅のバリアフリー化、家族の有無など）
本人の希望（住み慣れた自宅か施設か）
たとえば、「日中だけ手伝いがあれば自立できる」ならデイサービスや訪問介護が向いています。一方で「夜間も見守りが必要」「医療的ケアが頻繁に必要」なら、施設サービスや看護系の訪問サービスが現実的です。
重要なのは、本人だけでなく家族全体の生活が無理なく続けられること。
それぞれの立場に合ったバランスを見つけるのが大事です。
5.2 よくある失敗例とその対策
介護サービスを選ぶ際、こんな失敗をしてしまう方が多いです。
「とりあえず」でサービスを契約し、内容が合わず途中で変更
費用の内訳をきちんと確認せず、後で負担が大きくなってしまう
本人の意思を聞かずに家族だけで決めてしまい、不満が続く
これらは、時間と手間が無駄になるだけでなく、本人の信頼感を損なう原因にもなります。
失敗を防ぐポイントは以下のとおりです。
サービスの内容・対象・利用条件を事前にしっかり把握する
料金の総額や補助の有無をケアマネジャーに確認する
見学・体験利用で実際の様子を確かめる
本人の希望や不安を必ずヒアリングする
たとえば、デイサービスの内容は施設ごとに大きく違います。 「リハビリが中心」「レクリエーションが充実」など特色があるため、何を重視したいかを明確にすることが選定の第一歩です。
5.3 ケアマネジャーとの連携の重要性
介護サービスの選定・利用をスムーズに進めるうえで欠かせない存在が「ケアマネジャー」です。 ケアマネジャー（正式には介護支援専門員）は、利用者の状態や希望をもとに、最適なサービスを組み合わせて「ケアプラン」を作成する専門職です。
主な役割はこちらです。
要介護認定後のケアプランの作成
サービス事業者との調整・連絡
利用者・家族への相談支援
状態変化に応じたプラン見直し
どのサービスをどれだけ使えるかは、ケアマネジャーのプランに大きく左右されます。
こんな連携ミスがあると、利用者が損をしてしまうこともあります。
希望や不満をケアマネジャーに伝えていない
サービスの選定を完全に任せきりにしてしまう
担当者と相性が悪いまま関係を続けてしまう
解決策としては、定期的に状態や気持ちを共有し、必要に応じて担当変更を申し出ることも大切です。信頼関係が築ければ、緊急時の対応も迅速になり、安心してサービスを利用できます。
▶︎6. まとめ
6.1 介護サービス選びのポイント再確認
ここまで、介護サービスの種類ごとに特徴や注意点を詳しく見てきました。 サービスの選び方ひとつで、本人の生活の質（QOL）も、家族の負担も大きく変わります。
改めて、サービス選びで押さえておきたいポイントをまとめておきます。
介護度と現在の身体・精神状態をしっかり把握する
本人と家族の希望や生活スタイルを大事にする
サービス内容・対象・利用条件を事前にチェック
費用の内訳や負担割合を理解しておく
必ず見学や体験利用を行い、相性を確かめる
ケアマネジャーと密に連携を取り、信頼関係を築く
特に「よくわからないまま契約してしまった」「思っていた支援が受けられなかった」といったトラブルを避けるには、事前の情報収集と丁寧な確認がとても重要です。
6.2 今後の介護生活に向けてのアドバイス
介護は、短期間で終わるものではありません。 長く続く可能性があるからこそ、本人も家族も無理なく続けられる体制をつくっておくことが大切です。
ここで、介護生活をスムーズに進めるためのアドバイスを3つご紹介します。
「完璧にやろう」と思わないこと
すべてを家族だけで抱えると、心身ともに疲弊してしまいます。手を抜くことも、立派な選択肢です。
「頼れる人や制度を把握しておくこと」
ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問介護事業者など、必要なときにすぐ相談できる相手をリストアップしておきましょう。
「定期的に見直すこと」
サービスの内容は、利用者の状態に応じて柔軟に変更できます。「今のままでいいのかな？」と思ったときが見直しのタイミングです。
介護は「続けること」が一番大事です。完璧よりも、少しずつでも良い形を積み重ねていけるようにしましょう。
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